
「未秋」
尾瀬の秋が始まると未草が色づく。
花はまだ少し残っている。
時折呼吸をしに浮かんでくるサンショウウオ。
大きなとんぼや小さな糸蜻蛉がお尻で水面をたたく。
みんな冬の準備を始めている。
ここの冬は厳しく長い。
水彩画 F4

1月
「梅東風」
筑波山の梅園は日当たりもよく、まだ早春も早春、2月くらいから紅梅が花開く。
梅の香りってなんだかウキウキする。
冬が終わる香り。
これから楽しいことがいっぱいありそうな香り。
小鳥たちも蜜を吸いに集まってくる。

2月
「華やぎ」
ご近所さんからいただいた大きなふわふわのミモザの枝。パールアカシアというらしくて、よくある
ギンヨウアカシアとは葉っぱの形がちがう。お花もふんわり大きいような気がする。幸せな気持ちもふんわり広がる。
水彩画480×630㎜

3月
「まどろむ」
草のおと 花の香り 蝶々が舞う
何か良き夢を見たような気がする
水彩画 F8

4月
「うらうらほろほろ」
川のほとり終わりかけのたんぽぽがふんわり綿毛を飛ばす。お洋服を着たぬいぐるみのようなわんこが浮かれた足取りで飼い主をひっぱり回す。お散歩も自転車もきもちよくてみんな笑顔。
今日は悲しいことも嫌なこともみんな忘れてふんわり笑おう。だって春だもの。
水彩画 F10

5月
「五月のメヌエット」
もう眩しい日差し。柔らかな花びらを翻して踊る優しい色の薔薇に三拍子のリズムと軽やかな旋律を聴いたような気がした

6月
「雨音の調べに」
スケッチに行った日は結構な雨ふりで予定していた登山をあきらめ池の周りをお散歩。灰色がかった風景の中で甘やかなピンク色が目に染みる。雨の合間を縫って蝶たちも訪れる。
水彩画 455×273㎜

7月
「夏ひかる」
暑い暑い地上を離れて登る。
気温はそこそこ低いのだけど日差しが焼け付くよう。
あちこちに可愛らしい花が散りばめられた岩肌に魅せられてなかなか進めない。
ふと振り返ると天空の雲を従えた赤岳の勇姿。
水彩画 F6

8月
「真夏の午後」
ギラギラの日差しに溶けそうな湿度。それでもこの小さなお日様たちはけなげに花を咲かせる。朝夕の水やりは欠かせない。私もがんばる。
水彩画 F6

9月
「羊の刻の夢
夏の終わりの尾瀬。まだ暑さの残る木道をぽくぽくと歩いてゆく。少しお寝坊なこのお花は羊の刻に開くだか閉じるだか、とにかく羊の刻を名前にもつヒツジグサ。強い日差しを反射しながら大きな青いトンボが水面を横切る。時折山椒魚がゆらゆらと水底から昇ってきて呼吸をしてまたそっと潜ってゆく。秋色の千代紙を散らしたような色とりどりの丸い葉たちの合間で純白の花が夢のようにひらく。
水彩画 F6

10月
「こころ燃ゆる」
燃えるような紅い薔薇。道に零れた花びらも艶めかしくふと足を止めた。
風が吹く
花びらが舞う
炎のように血のように
情熱がこんな形をしているのなら
ずっと心に抱えていたい。
水彩画 273×273mm

11月
「苔の森」
ふわふわの苔の上におもちゃのようなきのこが並ぶ。足元には赤い豆電球のようなツルリンドウの実。神様は時々こんな遊びをするのだ。
水彩画 F4

12月
せっかく行った苗場山は雲の中だった。登っている途中で雲の上に出た。
雲海が美しい。息を飲む。
下りで見つけた枯れ木に心惹かれた。
ここでどんな風景を見てきたのだろう。厳しい自然のなかでどんな枝葉を伸ばしていたのだろう。
これから冬がくる。雪もこの姿で受けとめるのだ。
水彩画 F4