「むかごって食べたことある?」
前にお勤めしていたミュージアムショップの上司にお弁当に入っていたのをいただいたのが初めて食べたむかご。
おいもみたいでおいしかった。
博物館の裏庭には立派な銀杏の木があって翡翠色の見事な銀杏がなる。
一般のお客さんが入れないその裏庭で毎年彼女は銀杏拾いをする。
一回だけご一緒したけど装備にびっくり。
長靴、ゴム手袋、二重にしたビニール袋…。
お昼休みの1時間で私の3倍くらい拾った。
「拾ってる間に次の銀杏を目で探すのよ!」
…気合いがちがう。
凄いにおいのするやわらかいところをゴム長で踏んで外し、アーモンド型の固い実だけを二重にした袋に入れる。
においを気にしながら電車で帰った。
ほろにがい半透明の美しい実はほんとうに美味しかった。
季節の食べ物にこだわりのあった彼女をおもいだす。
もう引退されたはず。
今頃どこかでおいしい銀杏を探しているかも。