お花は基本、野に咲いているまま描く。
切って花瓶に入れると不自然になるしエネルギーも減ってしまう。
なので今回出すほとんどの作品は
お外で描いたスケッチをもとにしている。
唯一これだけが切って描いたスケッチがもと。
ちょうどこの花が満開のころ
余命の少ない生徒さんにマンツーマンで教えに行っていた。
がんの手術で声を失った彼女は
ほんの2ヶ月足らずで家族に残す絵を仕上げて
旅立っていってしまった。
彼女と一緒に描いたスケッチが何枚かあるのだけれど
そのうちの1枚でも
ちゃんと本画にしておきたかったのだ。
ところが意外と苦労してしまった。
描いても描いても気に入らない。
暗い絵にしたくはなかったのだけれど
どんどん暗くなってしまって
もうダメだ、と潰してしまった。
しばらく離れて別の絵を描いたりして
間をおいて
続きを描きたくなったところで再開。
なんとか仕上がった。
日本画 F6
ほのほのとわがこころねのかなしみに咲きつづきたる白き野いばら
『銀』木下利玄
木下美香日本画展は池袋東武にて2/28~3/6開催予定!