ウマノスズクサといっしょに3つのジャコウアゲハの卵が送られてきたのは5月7日。
3日にうまれた卵だと言う。
毎日わくわくしながら孵化をまち
孵ったのは9日後の5月12日。
それから日に日に大きくなる幼虫を見守り続けた。
途中で一鉢ぶんのウマノスズクサを食べつくしてしまい
2頭は家出。
その後見つけたものの1頭は成長が遅れ
もう1頭はまた家出してそのまま見つかっていない。
順調に育った子は24日めに無事蛹となり
それから12日後の昨日
羽化にも成功して
立派に旅立っていった。
もちろん描くために育ててたんだよ~。
これは羽化したてのようす。
朝の5時前だった。
前日の夜から黄色かった蛹がみるみる黒くなっていったので
もうすぐだな、とはおもったのだけれど
タッチの差で見損ねてしまった。
蝶の羽化はあっという間。
まだお口のストローのわっかの中に水分がたまってたりする。
脚から糸が出ているのがなんとも不思議。
余分な水分を出しつつ
羽を乾かす。
ちゃ~ん!
乾きました!
なんて美しい。
時折ゆっくりと
たしかめるように羽をうごかす。
お外で蝶をみつけても
こんなに間近でゆっくりとは描けない。
標本では身体の形がわからないし
死んだものもなんだかちがう。
蛹から出たては完璧で美しい。
これは羽の色が淡いのでメス。
ジャコウアゲハはメスのほうが多いような気がする。
気温がすっかり上がった10時すぎ
窓をあけてやると
ふわり風に乗って舞い上がった。
頼りなげではあったけれど無事旅立ち。
午後、庭を優雅に飛ぶ姿を見た。
あとは恋人さがし。
そしてまた卵を生みに戻ってくるかもしれない。
成長の遅れた1頭も今蛹になっている。
そして送られてきた卵とは別に
ベランダで生まれた卵も2個孵った。
なぜここにウマノスズクサがあるのがわかるんだろう。
この白黒の大きな芋虫が
黄色い蛹に変身するのも
蛹から蝶になるあの突然の変化も
ほんとうにほんとうに不思議でたまらない。
ジャコウアゲハ(麝香鳳蝶、麝香揚羽)
学名: Byasa alcinous または Atrophaneura alcinous
科目:チョウ目アゲハチョウ科
分布:東アジア(日本、台湾、中国東部、朝鮮半島、ロシア沿海地方)
日本では、秋田県以南から八重山諸島まで分布し、南西諸島では多くの亜種に分けられる。
和名は、雄成虫が腹端から麝香のような匂いをさせることに由来する。
(成分はフェニルアセトアルデヒド)
成虫が発生するのは春から夏にかけてで、その間に3-4回発生する。
オスは黒色、メスは黄灰色なので見分けがつきやすい。
成虫は日中の午前8時ごろから午後5時ごろまで活動するとみられる。
ジャコウアゲハ類が食べるウマノスズクサ類は
毒性のあるアリストロキア酸を含み
ジャコウアゲハは幼虫時代にその葉を食べることによって体内に毒を蓄積する。
この毒は一生を通して体内に残るため、一度ジャコウアゲハを捕食して中毒を経験した捕食者は
ジャコウアゲハを捕食しなくなる。
このため、ジャコウアゲハ類に擬態して身を守る昆虫もいくつか存在する。(ベーツ擬態)
ジャコウアゲハの蛹は「お菊虫」と呼ばれるが、
これは各地に残る怪談『皿屋敷』の「お菊」に由来する。
寛政7年(1795年)には、播磨国・姫路城下に後ろ手に縛られた女性のような姿をした虫の蛹が大発生し
城下の人々は「昔、姫路城で殺されたお菊の幽霊が、虫の姿を借りてこの世に帰ってきているのだ」と噂したという。