三菱一号館美術館で行われているレオナルド×ミケランジェロ展のブロガー内覧会に行ってきました。
彫刻が上か、絵画が上か、という論争が巻き起こるなかで双方の代表として矢面に立ったふたり。
レオナルドが立体的なものを平面で表現する絵画が上だと主張するのに対し、ミケランジェロはどっちも同じ才知に基づくものなんだから仲良くしようよ!と。
そしてミケランジェロは作品が完成しなかった23才も年上のレオナルドに対し、こんな言葉を公衆の面前で浴びせる。
これだけ見ちゃうと仲悪かったの?と思いますが、作品を見ていくと共通点がかなり多い。
素描を大切にしたこと、小さな立体の雛形を作っての考察法、解剖学に基づくしっかりした人物像…。
こういった素描は彼らの時代から本格的に行われるようになり、単なる下書きではなくそれ自体が美しく、作家の製作プロセスを示すものとなりました。
あらためて、ほんとうに美しいです!
赤チョークで描かれたものも金属ニードルで描かれたものも!
今回は一点撮りもOKだったので、こんな写真もアップできたのですが、ぜひ本物を近くで観てください!
感動ものです。
どちらの素描も優れているのですが、どちらかというとレオナルドは柔らかいタッチで、ミケランジェロは線で立体感を出しているかんじです。
あ、この絵もありました。
ダ・ヴィンチコードに出てきたんじゃなかったっけ?
レオナルドの工房によるこの絵に関してはレオナルドの手が入っているのはキリストのおばあちゃんにあたる後ろの女性、と言われています。
近くで見るとわかるのですがたしかに顔のクオリティが全然ちがいます。
マリアとキリスト、もうちょっとがんばろうよ…( ´△`)
どちらも筋肉の描写に余念がありません。
当時は女性を描くにも男性モデルを使ったのだそうです。
はい、たしかに!
くるみの袋!(笑)
あとおもしろかったのがレダ対決。
ギリシャ神話に出てくるお話を題材にしているのだけど…
こちらがレオナルド。
この絵は本人の手ではないのですが、構想は彼のもの。
けっこう気持ちの悪い絵です。
レダは美しいのですが、白鳥の目付きのやらしいこと!
卵から生まれているこどもたち。
気持ち悪いのに目が離せなくなります。
ミケランジェロはこちら
うーん、官能的~。
でも比べてしまうとこちらのほうが常識的なかんじがします。
レオナルドが作る予定だった馬の群像はブロンズが戦争で砲弾を作るのに使われてしまったため手に入らなくなって頓挫。
たくさんの素描を残しただけとなりました。
この描写、本当にすごいです。
実際によい馬を持っている兵舎に出向いて描いていたのだそうで、相当な情熱をもって描いたのが伝わってきます。
ちなみにミケランジェロ。
もちろんすっごく上手いし的確な線で表現してますが、あまり熱は感じないかな。
2番目にアップした写真のミケランジェロの言葉はレオナルドのこの馬の彫刻作品が見たかった、という残念な気持ちが言わせたものだったのかもしれません。
本当に残念。
レオナルドは完成しなかった作品が多いんですよね。
すっかり長くなりましたが、最後に見ごたえたっぷりな彫刻作品を。
ミケランジェロのキリスト像。
これは2000年にミケランジェロの作品と判明したものだそうです。
といっても…
わかりますか?ほほからあごにかけて、大理石に筋が入っています。
これに気付いたミケランジェロは製作を放棄、続きは別の方が彫ったのだそう。
キュレーターの方によると左手と足はミケランジェロの彫刻らしいです。
ここと
ここね。
で、この作品の第2弾、本人の手によるキリスト像は写真のみの展示。
でもこの今日本にいるやつのポーズのほうが好きだなぁ。
全裸のキリスト像というのはとても珍しく、ミケランジェロだから許されたのでは、とのことです。
ギリシャ彫刻のような逞しく美しいキリスト様です。
これを日本に持ってくるのは本当に大変だったみたいですね。
大切にしっかり梱包されてきたのですが、ついてきた向こうの方にきいてもどっちが前だかわからず、こっちかな?と言われた方を前にして梱包を解いたら見事に逆だったそうで!(笑)
また包んでクレーンで持ち上げて直したのだそうです。
そしてこれは撮影OK!(混み具合によってはできなくなるかもしれないとのことです。)
窓を開けて自然光で見せてくださるそうです。
これはぜひ、昼間来たいものですなー。
あと、おすすめは図録だそうです。
ブロガー内覧会は閉館後に行われたので買えなかったのですが、日本の専門家が最新情報をもとに執筆したのだそうで、大変興味深い内容となっているとのことです。
気になる~。
昼間のキリスト像を見に来るのと、図録を買いにもういちど来ないと!
レオナルド×ミケランジェロ展
三菱一号館美術館にて
2017/6/17(土)~9/24(日)
http://mimt.jp/lemi/