枝垂桜は意外と弱いらしい。
去年描いたあの樹にそろそろ花が咲くはず、と出かけても
同じように美しく咲いていたためしがなく
毎回新しい樹をさがすことになる。
この樹はとても立派だったので
今年も描けるんじゃないかと期待している。
枝垂桜のすだれの下でスケッチをするのは
ほんとうに幸せ。
日本画 F10号
やへにほふ軒ばの桜うつろひぬ風よりさきにとふ人もがな
式子内親王・新古今集137
「幾重にも美しく咲き匂っていた軒端の八重桜は、盛りの時を過ぎてしまった。風より先に訪れてくれる人がいてほしい。」
家の八重桜を折らせて、惟明親王のもとにつかはしける。
生涯独身を通したという式子内親王。
甥の惟明親王に庭の桜に添えてこの歌をおくった。
返歌は
つらきかなうつろふまでに八重桜とへともいはですぐる心は
「冷たいですねぇ。
盛りが過ぎるまで、八重桜を見に訪ねろとも言わず過ごされた
あなたのお心は。」
美しい桜をだれか大切なひとと眺めたい、
昔も今もかわらないきもち。
式子内親王:式子は「しきし」とも(正しくは「のりこ」であろうという)。
御所に因み、萱斎院・大炊御門斎院などと称された。
後白河天皇の皇女。
木下美香日本画展は池袋東武にて2/28~3/6開催予定!