2024カレンダーとポストカードセット発売開始!

今年もこの季節となりました。
例年と変わらずA4サイズ、各月の絵が楽しめる13枚つづりのカレンダーとなっております。
ご希望の方はネットショップBASEにてご注文下さい。

2023年のを買いそびれた方、お得なセットもございますのでチェックしてみて下さいね。

カレンダー13枚つづり     ¥2200(税込)
ポストカードセット16枚入り ¥1650(税込)

カレンダー2024+ポストカードセット+カレンダー2023 ¥3635(税込)
    *2023年のカレンダーがなくなり次第終了!

1月「アリアドネの幸せ」
なんのこっちゃと思うでしょ?。この絵のモデルはラナンキュラスだ・ラックス。お花好きの方ならよくご存じでしょう、最近はやっているお花。昔からあるラナンキュラスと違って夏越しが容易で毎年咲いてくれる上、光沢のある花びらが美しい言うことなしのよい子。色も豊富でそれぞれにギリシャ神話にちなんだ名前がついていて、この愛らしいピンクはアリアドネ。英雄テセウスに一目ぼれし助ける代わりに一緒に連れて行ってもらう約束を交わしたのに置いてきぼりを食らったうえ、お酒の神様バッカスにむりやり結婚させられた可憐な乙女。(諸説あり)スケッチをしているとほんのり頬を染めた少女のように思えてくる。恋にのぼせているのかお酒に酔っているのか、どっちにしてもふんわりと幸せそうに
見える。

2月「こころのままに」
ポピーが無性に描きたくて取り寄せた。数年前まではどこのお花屋さんでもリーズナブルな価格で10本束が売られていたと思うのだけれど、とんと見なくなった。もじゃもじゃとした蕾からシフォンのような薄い優美な花びらがあふれ出てくる感じがとても好き。あちこち気ままに見える動きのある茎もいい。丸い芋虫のような固い蕾が届いたけれど咲きだすとみんないっぺんに咲いてあっという間に終わってしまう。描く方は時間との勝負。集中して一気に描き上げる。この持ちの悪さと価格の安さのせいか最近は後継者がいなくて生産量が減っているのだそうだ。

3月「はるのうた」
真冬、ベランダにお花がなくなると毎年買うビオラ。今年は何色にしようかな。さんざん迷うけれどやっぱり紫色は外せない。八重咲やうさみみ、いろんな形のが出ているけれど、結局オーソドックスなものにした。可憐なお花を健気に咲かせて一冬楽しませてくれるけれど、やはり春先のものが一番美しい。小さなプランターからあふれるように瑞々しいお花が咲き乱れ、一足早く春を謳歌する。

4月「緑雨のあと」
一雨ごとに緑が濃くなる頃の雨を緑雨というのだそうだ。雨上がりの公園はお日様を待ちきれない子供たちの歓声に満ちている。小さな靴に踏まれたクローバーの香り。ダイヤモンドのようにきらめくしずくを抱える葉っぱの緑、どこかで雨宿りしていた虫たちも忙しく蜜を集め始める。これから何かが始まるような、そんな静かなエネルギーが漂う。

5月「蒼い庭」
青い花を好んで植える母の庭には蝶がたくさん集う。蝶にも好みがあるらしい。なるほど、ストローのような口でしか届かないような深いところに蜜を隠し持つ花が多いみたい。それぞれに生き残るために凝らした工夫がこんなに美しいものになるなんて本当に不思議。ふわりひらりとのんきに見えるちょうちょがちゃっかりベランダの小さなレモンの木を見つけ出しちゃっちゃと卵を生んで素知らぬ顔で飛んで行く。レモンは大切だけれど鳥の糞のような幼虫が緑色の新幹線のようになり、蛹になって蝶になるのが見たくてついついそのままにしてしまう。

6月「風待ち月」
6月はたくさん別名がある。風待ち月もそのひとつ。蒸し暑いとか湿気が多いとかいうのを風を待つ、と表現するなんて粋だなあ。6月と言えば紫陽花なのだけれどうちの紫陽花は青がうまく出ない。青かったものもピンクが入って中途半端な紫になってしまう。青い紫陽花が描きたいと言ってたら友人がお庭のをわけてくれた。THEあじさい!ってかんじの吸い込まれそうな青。なんて美しいのだろう。とても表現しきれない。

7月「風の通り路」
旅する蝶として有名なアサギマダラ。東南アジアのほうまで海を越えてゆくという。ヒヨドリバナが群生するこの山道は彼らのオアシスらしく、スケッチブックを広げて待っていると次々とやってくる。本当にこんな蝶が海を渡るのかといぶかしむような頼りなげな飛び方。あっちにふらふらこっちにふわり。かなりののんびり屋さんに見える。向こうが透ける浅黄色の羽衣にふと手を伸ばすとあっさりと捕まってしまう。
胴体はビビットな水玉模様。脚は4本。前脚2本は退化したというのでそこも見てみる。ああたしかに脚だったものがそこにある。そっと手を離すと慌てることもなく何事もなかったかのようにふわりと飛び立つ。案外こういう風任せ、ゆったりした者のほうが遠くに行けるのかもしれない。

8月「風のおとに」
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる、ご存じ藤原敏行の歌ですが、なんて言い得て妙なんでしょう。まだ暑さの残る中で咲く秋明菊だけど、スケッチしていてふと風が変わったのを感じる。雲のかたちも虫の声もいつの間にか変わっている…でも暑い・・・8月の夏真っ盛りのカレンダーには少し早いのですが、早く秋がきてくれるように祈りを込めて。(夏好きにおこられそう・・・)

9月「追憶]
お彼岸になると律儀ににょきにょきと蕾が地中から伸びてくる。いきなり炎が燃えたつような花があちこちで開き、亡き人々を思い出させる。揚羽蝶がこの蜜を好むらしくふわりとやってくる。スケッチの手を止めてその色のコントラストの美しさにしばし見とれる。あれは父か祖父母かそれとも数年前に亡くなったにゃんこの魂か。そんな妄想を呼び起こすような幻想的な赤。

10月「雨の合間に」
雨が降ったりやんだりひんやりした秋に訪れた美しい林はその名も美人林。雨の合間をぬってっスケッチブックを抱えて歩く。ウェディングフォトを撮っているカップルは小雨に濡れて寒そうだけれどとても幸せそうだ。家族連れ、カメラを抱えた人々、時々冷たい雨が落ちてくる
というのにみんなゆったりと紅葉を楽しんでいる。片隅で見つけた目が覚めるような真っ赤なきのこはアカチシオタケという。ぽきりと折ると真っ赤な血のような汁が出てくるのでこの名前。足元にはタマゴボウロのようなニガクリタケが群生している。「きのこ探そう!」近くで子供たちの声がする。この赤いきのこのことはちょっと内緒にしておこう。

11月「秋暮のいろ」
秋のスケッチ旅は描きたいものがありすぎて忙しい。あれこれ描いた最後に見つけたのがこのツルウメモドキ。丸く黄色いさやが弾けて真っ赤な実が顔を出す。秋の陽はつるべ落とし。夕闇が迫り時間との勝負。がさりと音がして小鳥がとまった。目が合うと慌てて逃げていってしまった。晩ごはんを食べ損ねてしまったね。申し訳なく思う秋の夕暮れ・・・

12月「流れゆく」
うちの近所の紅葉は大体12月。山の紅葉はとっくに終わってしまっているけれど近所でスケッチできるのは嬉しい。そこには小さな池や川があり、タイミングがよいと落ちかかった紅葉が錦となって浮かぶ。けどこれは本当に条件がよければで、だいたいの場合は茶色にくすんでいたり薄汚れて沈んでしまっていたりする。ある程度風があり、新しい落ち葉が降り積もるようなタイミング、雨が降っていないこと,そんな条件をクリアして出会える風景。これを書いている今は8月。あまりの暑さに葉っぱが傷んでいるという。今年の紅葉はどうだろう、とちょっと心配。

ポストカードはこのほかに以下4点の作品が加わって16枚セットとなります。