近況…

旅行に行って、絵を観る楽しさを思い出してしまった。
博物館のミュージアムショップに勤めていた頃は毎日のように休み時間に博物館の展示を観ていたし
いろいろチケットも手に入るし、上野という場所柄、美術館にも行きやすかった。
博物館を辞めてから東京へ出ることはほとんどなくなって、絵も映画も観に行かなくなっていた。
東京に出る用事ができ、フェルメールでも観たいなぁと上野によったら
西洋美術館のこの絵の看板に惹かれて思わず入ってしまった。


ヴィルヘルム・ハンマースホイ…?
きいたことがない名前。
何とも言えない詩情のある女性の後姿。

若い頃からの作品を順に展示してあったのだけどやはり後半がよかった。
自分の住む部屋と奥さんの後姿を繰り返し繰り返し描いているのだけれど
独特の冷たい、冷たいからこそほんのり暖かいような空気感が漂い
厳しく練られた構図は上品な静寂をかもしだす。

そして昨日、思い切って苦手な渋谷にでてワイエスを観にいった。


ワイエスは予備校時代に初めて観てすっかりファンになってしまった作家。
水彩やドライブラッシュで何枚も習作を描き最終的にはテンペラにもってゆく、その過程をテーマに展示。
昔から私は彼の水彩画とドライブラッシュのほうがテンペラよりも好き。
感動をさっととじこめたような。
ああ、あんなふうに描けたらよいのに。

91歳になる彼の言葉。(正確ではないかも。ビデオのインタビューで)

朝起きたとき死ぬほど疲れていても何かを見つけると身体が動きます。
鳥でも光でもなにかインスピレーションを与えてくれるものを。
今すぐにやらなくてはなりません。
今すぐにです。歳は関係ありません。

個展を終えて旅から戻ってなんだかとても疲れたような気がしてあまり創作活動をしていなかった私は
はっと目を覚まされたようなきもちに。
先先週の日曜、パリから帰ってきた翌日に地元のこんぶくろ池に行って
すてきなからすうりとガマズミを見たのに疲れて描けなくて
しかもそのまま今まで描かずにおいていた。
大変、もう一週間以上たってる!
今すぐに行動せねば!!


幸い今日は久々のお天気。
残念ながらからすうりは葉っぱがしわしわになってしまっていたのだけど
ガマズミはまだきれいだった。

美術学校


Mちゃんは地元の美術学校に通っている。
そこにおじゃまさせていただいた。
いろいろやるそうなのだけど、そのときの課題は陶芸。
もう仕上げにかかっていてみんなスクレーパーで表面を削る作業に入ってる。


大きな鉢のようなものを作っているのだけどなぜかみんな底が小さくて不安定なかんじ。
Mちゃんにどうして?ときいてみた。
始めたときはお椀ぐらいのものを作るのだと思っていたんだって。
それが次週もまだ続き、その次も続き、どんどん大きくなってしまったのだそう。
彼女は自分が言葉がわからなくて勘違いしたのかと思ったみたいだけどみんな同じような様子。

ちなみに左下の手はMちゃんとその作品。


そう、ここではオランダ語で授業が行われている。
私たちには英語で話してくれるけど、みんなオランダ語でおしゃべり。


まあにぎやかなこと!
Mちゃんいわく、ベルギーの人たちはおしゃべり好きなのだそうだ。


外国でしかも言葉の壁も乗り越えてひとりで学校に通い始めた彼女はほんとにすごいとおもう。

その仲だちをしてくれたのが彼女の親友、リヴさん。
リヴさんにはこんなすてきなところに連れて行っていただいた。



2つ星の場所だそうです!

もうすっかり秋も深まって

きのこ鑑賞のあとはMちゃんの案内で彼女の住む街をぐるーり。

ベギン会修道院。
れんが造りの美しい建物は今はギャラリーとしても使われているそう。

十字架のキリスト像の前の門柱のうえにはドクロの彫刻。


窓ガラスがゆがんでいてレトロなかんじ。


ふつうの町並みが美しい。
紅葉も終わりがけ。
大きな黄色い落ち葉が冷たい風に舞い始めてる。


ベルギーへ(きのこの国?)

翌朝タリスでベルギーのブラッセルへ


そう、あの有名な世界三大がっかりのひとつ小便小僧のある街です。


いやいや、私はそんなにがっかりしなかった。
かわいかったです。

そしてMちゃんと街をぶらぶら。
季節柄、きのこのディスプレイが多い。


かわいいなぁ。
友人から頼まれてた日本では手に入りにくいきのこ狩り用のナイフもこの並びの刃物屋さんでみつけました。


翌日はMちゃんの住む街のきのこスポットに案内してもらいました。
その様子はこちらでも見られます。

前日の雨のせいで傷んでしまったきのこもおおかったのだけど、落ち葉をどけるとこんなかわいいのが残ってた!

こんなちびっこちゃんも!
絵本の中に出てくるようなまっ赤なかわいいきのこちゃん。


ルーブルへ!


そしてついにやってきました、ルーブル!


憧れのニケさんにご挨拶して、とりあえずモナリザを観て、それからゆっくりまわろう。
ニケさんのレプリカは受験生のときにデッサンしたのだけど、
石膏デッサンのきらいな私でも、そのあまりの美しさに楽しく描けたものでした。

名画ばかりでめまいがしそう!!
絵もすばらしいのですが天井や壁などの装飾も見逃せませぬ。


アポロンの間にて。


2時くらいまで息もつかないかんじで観まくってたのだけど
さすがに疲れてコーヒータイム。

バルコニーまでこんな!


朝イチから閉館まで観ても絵画しかまわれなかった…。
それでも大満足。
ああ、すばらしかった!
ちょうど夕陽が美しい時刻。
急いでスケッチしたけれどあっというまに陽が暮れてしまった。

描いてたら黒人のお兄さんにどこから来たのかときかれた。
お兄さんは去年日本にお仕事で行ったのだと言う。
そしてまた別れ際は例のちゅっちゅご挨拶。
そしてきめゼリフ「スリニキヲツケテ」
…それだけスリが多いということ?それとも日本人が狙われやすいってこと?


翌日はパリを発ち、ベルギーのMちゃんのところへ!

オルセー、オランジュリーへ


翌朝は時計は相変わらずなかったけど、ちゃんと早起き。
朝7時がまだまっ暗だったのにびっくり。
まだサマータイムだったのでした。
前日起きられなかったのもムリはないなぁ。

お弁当を作っていってきまーす!
近くのスーパーのようなお店で買ったバゲットで作ったのですが、とってもおいしい!
表面はびっくりするくらい固いのに中はやわらかく、香りがとてもよいのです。


憧れのオルセーに到着!

そうそう、この時計が見てみたかった!


オーディオガイドを借りてみたのだけど、借りてよかった。
『小説「聖書」』を読んで聖書のお話を頭に入れようと思っていたのに
1/4ほど読んだところで止まっていたのでまだまだ知識が足りない。
読んだところまでのお話の一場面だとわかるので楽しい。
こんなことならちゃんと全部読んどくんだった!
あとギリシャ神話の知識も必要。
むかーしがんばって読んだけど国によって神様の名前がちがったり、
よその国の神様と同一視したりもしてるので複雑でしかもうろ覚え…。

入ってすぐのなかなかセクシーな彫刻のふとももにセルライトを発見して
なんてリアルなのかしらと思ったら
ガイドによると本物の女性から型取りした作品だという。
当時それで彫刻といえるのかと論争になったそう。
そういうこともガイドがなかったらわからなかった。


なんだか大好きになってしまったかわいいシロクマ君。
ミニチュア版が売っていたのでほしくなってしまった~。

そのあとオランジュリー美術館に行ってモネの睡蓮の部屋でしばしボーゼンとしておりました。
楕円形のお部屋の壁いっぱいにひろがる睡蓮の池。
明け方の水の色、昼間の強い日ざし、夕暮れのきらきらしたひかり、
流れてゆく雲を水鏡がうつし、水辺の草も優しく水面をなでている。
一枚一枚に空気があり光がありほんとにすばらしかった!
ちかくでみると荒いといってもよいようなタッチ。
何を描いているのかよくわからないぐらいなのだけど、離れると睡蓮の葉になり花になり水のきらめきになる。

自然光をとりいれた明るいすてきな美術館は大改装工事がすんだばかりだそう。

見終えてお外に出ると5時近くだというのにきらきらきれいな日ざし。
前日もおもったのだけどパリは朝の光よりも夕方の光のほうがきらきら美しい。
どこか描こうかな、とふらふら歩いていたらどこからきたの?とおじさまに声をかけられた。
Mちゃんから近よってくる人には気をつけるよう警告されていたので警戒気味に対応。
日本からだというと日本人の友達がいる、と言いだして片言の日本語までとびだした。
ますますあやしい~~?
あれがコンコルド広場、あっちにルーブル、オペラ座はあっち、といろいろ説明してくれ、
「マテオ、トモダーチ!スリニキヲツケテ」というとほっぺにちゅっちゅっとする
むこう式のご挨拶をして行ってしまった。
マテオさん、ほんとはいい人だったのかもしれないね。
だけどほっぺにちゅっちゅのご挨拶は苦手。

気を取り直してチュイリー公園の端の方を、ジュ.ド.ポーム側からスケッチ。


そのあとポンピドゥー芸術文化センターに行こうと思っていたのだけど
駅からどっちに歩けばいいのかわからなくなってしまった。
次回は方位磁石と時計を忘れまい!
で、適当に歩いていたらすてきな教会にたどりついた。


サンジェルマン.ワーセロワ教会というらしい。
中に入ってみると日曜だったためかパイプオルガンの演奏が行われており、これからなにかあるようで
人が集まり始めていた。
夕陽をあびて輝くステンドグラス、美しい彫刻や宗教画、ろうそくの光、パイプオルガンの荘厳なひびきとあいまって
信者でもないのに神聖な気分になってしまう。
牧師さんがでてきて人々が賛美歌を歌い始めた。

ブーローニュの森


パリに着いたのは夜7時くらい。
空港の芝生や凱旋門のまわりの緑地にちいさなうさぎがたくさんいたのにびっくり。
描きたかったけれど飛行機やバスで通り過ぎただけだったので写真もとれなかった。

パリは車も人もとっても多い。
わたしがとったホテルはすこし郊外にあったので静かだった。
2時間くらいはぐっすり眠ったのだけど時差ぼけと興奮で眠れない…。
….
ふと目覚めたら10時をまわってた!!
アサイチでルーブル、とおもっていたのに。
北駅に行って4日後のベルギー行きの電車の切符をとったりしてたら午後をだいぶまわってしまった。
初めてのパリなので電車に乗って移動するだけでもとても時間がかかる。
タリスの切符を買うのにもだいぶ並んでしまった。
ほんとに人の多いところ!
都会が苦手なわたしはすっかり疲れてしまったので、ホテルの近くのブーローニュの森に行ってみることにした。


大きくてきれいな森だった。
そしてやはり人は多かった。
土曜だったせいかな?子供連れが多い。

外国だしひとりだし緊張するのだけど筆をもつと自分にかえれるようで落ちつく。
スケッチしてたら上のほうでがさがさ音がする。
体長15cmほどの小鳥が一生懸命なにかをひねるような動きをしてる。
しばらくしてぽとん、と青いりんごが落ちてきた。
それをおいしそうにつついてる。


見たことのない実。


これはたぶんブラックベリー。
まだ赤いのをちょこっとかじってみたらしゃりっとした。
黒くなったらおいしいのかな?
桑の実みたいに?


森が途切れたところに遊園地がある。
子供たちの歓声を聞きながら芝生の上で街角を描いてみる。


実は私は建物を描くのが苦手。
けれどこの旅行中にすこし上達したので、まず初めのから見ていただくことにします~。

ただいま!


行ってきました、パリ&ベルギー2週間の旅!
帰ってきたらおうちのプロバイダが変わっててネットがつながらない状態に…。
いつもは無線LANでつなげてるのですが、いまだうまくつながらず、妹の部屋からケーブルで。
本人はいたって元気でお仕事も水泳もこなしておりました。


日程的にも金銭的にもかなりムリがあった今回の旅。
航空券をとったあとに個展が決まったというのもありまして…。
行く前は個展の疲れでへろへろだったのですが行ってしまうと興奮ですっかり元気に。
ベルギー在住のMちゃんご夫妻にはほんとにお世話になりました。m(_ _)m

格安航空券だったのでもちろん直行便ではございません。
アシアナ航空という韓国の航空会社なので、ソウルのインチョン空港で乗り換え。
待ち時間にちょこっとスケッチ。

おいしい、といううわさの機内食。
コリアンスタイル、というとおいしい韓国料理が出てきます。
毎回コチジャンがチューブに入ってついてくるのがおもしろい。
キムチもおいしい!
でもキムチごはんのごはん対キムチが1対1だったのにはおどろいた。
3対1くらいじゃないと食べられないよ~。


スケッチ日和


花野井のほうにあるぼたんで有名なお寺さん。
その日の水彩画教室はみんなでお外でスケッチ。
幸いお天気にめぐまれてとってもきもちよかった。
それにしても建物ってむずかしい。
わたしはちょっと苦手だったりする。


そこのお寺さんにあった石仏。
よく手入れの行き届いたお庭でにっこりほほえんでおられる。