この花なーんだ?
うちの周り、流山市柏市ではあちこちにあります。
でも昼間は咲いていないので気づきにくい・・・
・・・そう、カラスウリの花です。
夕方6時くらいになると
橋の欄干についた儀帽子のような蕾がするするとほどけてゆきます。
白い花びらがみるみる開き
繊細なレースのように広がっていきます。
なんて美しい!
夢中で描いているといつのまにかとっぷりと日が暮れてしまいます。
カラスウリにとってはここからが本番。
甘い香りが一面に漂います。
スズメガを誘って受粉させるらしいのですが
描いているあいだ愛しの君は現れませんでした。
これは雄花。
カラスウリは雄株と雌株があり、
雄株には雄花しか咲きません。(したがって実もつきません)
雄花のほうが花数が多いので描き応えがあるかな。
雌花は花の根元がぷっくりしていて花数が少ないです。
さて、水彩画でこれを描くのはなかなか困難です。
パステルとかガッシュとか上から白がのる画材ならよいのですが
この白繊細な花びらを白抜くのはなかなか大変。
水彩画をされている方はコレ、持ってる方多いかな。
マスキング液
リンクはミツワ堂さんのですが、ホルベイン、W&N、シュミンケなど水彩を扱う各メーカーさんから出ています。
筆で塗るタイプやチューブみたいなのに入ったペンタイプがありますが
要は液体のゴムで、白く塗り残したいところにあらかじめ塗っておき
乾いてから絵具を塗り、絵具が乾いてからマスキング液を剥がすと
もとの紙の色があらわれるという仕掛けを作るための道具です。
これを使えばバックが暗闇でも白い花びらを浮き出させることができます
・・・が!
さっきの文、もういちど。
「乾いてから絵具を塗り、絵具が乾いてからマスキング液を剥がす」
そう、2回乾かす工程があるんですね。
おうちで描いていて時間があってゆっくり描けるとか
ドライヤーが使えるならOKですが
現場スケッチだと、なにせものすごい湿度ですので乾かない。
そしてどんどん暗くなりますのでできれば早く終わらせたい。
なので私は現場スケッチではこっちのほうをよく使います。
三菱のダーマートグラフ!
こちらの白、もちろん油性のほうね。
この糸をひっぱって芯を出すのがなんともレトロでカワイイ。
で、これをまず多めに芯を出しカッターできんきんに尖らせます。
そして白く残したいところに描くと
上から絵具を塗ってもそこだけ弾くのでのりません。
ただね、これって白い紙の上に白で描くので描いているとき見えないんです。
なので思ったよりも線が太かった、とか
意外と描けてなくてしっかり絵具がのってしまった、とか
使いこなしがちょっと難しいです。
マスキングだとまた上から描けるので多少やりすぎても大丈夫なんですが
ダーマートはやりすぎちゃうともう水彩はのりません。
困難はあれど、仕上がり、やわらかくてなかなかよいでしょ?
手順としてはまず
1、花の位置を決め、周りのレース部分に水をのせる。(花本体のところにはのせない)*下書きしたほうがやりやすいとおもいます。
2、暗闇の色を平筆でがーっと置く。(レース部分には先に置いた水を通してじわっと滲んで入る)
3、葉っぱの色をざっと置く。
で、いったん乾かしてそれからダーマートの出番です。
真っ白なところに描かないのがポイントかな。
下に少し色が入っていたほうが仕上がりが自然だし
かすかに、ですが描いたところが見えます。
それからもういちど濃い目の色で花の周りを塗ると
ダーマートの線が出てきます。
ティッシュで絵具の濃さを調整してください。
こすらないで優しくとんとん、とね。
仕上げに近づいたらガッシュ(不透明水彩)の白でちょこっと補強します。
これはあくまで現場スケッチの場合です。
おうちで描かれるなら、下書きをしてマスキングしたほうが
失敗は少ないと思います。
秋、冬の乾燥した季節ならお外でもマスキングは使えます。
ただ、標高の高い山にペンタイプをもっていくと
どんどんあふれてくるのでご注意くださいね・・・
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経験済み・・・
(少し減ってるやつならぎゅっとつぶして空気を抜いてもっていけば大丈夫♪)
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カラスウリ(烏瓜)
学名:Trichosanthes cucumeroides
科名:ウリ科
別名:玉章(たまずさ)・ツチウリ・キツネノマクラ・ヤマウリ
原産地:中国・日本
分布:本州・四国・九州
開花期:7月〜9月
雌雄異株で、ひとつの株には雄花か雌花かのいずれかのみがつく。
4月〜6月にかけて塊根から発芽、あるいは実生する。
花期は夏で、7月〜9月にかけての日没後から開花する。
雄花の花芽は一ヶ所から複数つき、数日間連続して開花する。
対して雌花の花芽は、おおむね単独でつくが、固体によっては複数つく場合もある。
ポリネーターは大型のスズメガである。
カラスウリの花筒は非常に長く、スズメガ級の長い口吻を持ったガでなければ
花の奥の蜜には到達することはできず、結果として送粉できないためである。
花言葉:「よき便り」「誠実」「男ぎらい」