浅井忠の京都遺産

昨日泉屋博古館で行われたブロガー内覧会に行ってきました。
催し物はこちら。

「浅井忠の京都遺産」

暗めの油絵を描いてた人?
くらいの知識しかなかった わたしですが
それは彼の人生の前半。
東京美術大学で黒田清輝とともに教鞭をとっていた浅井忠は
すでにその画業が完成に近づいていたときに
1900年のパリ万博、フランス留学を経て
変化する。

フランスの風景、特にグレー村に魅せられ
明るい風景を現場で描くことに打ち込んだ。

パリ万博では
その前に席巻した日本の意匠が
アールヌーボーに取り入れられ
より洗練された美しいものとなっているのに対し
伝統的な日本の工芸品が美術とみなされなかったことに衝撃をうけ
そこで京都高等工芸学校(のちの京都工芸繊維大学)設立のために来ていた
中澤岩太と出逢い
同校の図案化教授就任の依頼を受けた。

今回の展示はこの京都工芸繊維大学の美術工芸コレクション。
なかなかみられないものだと思う。

この泉屋博古館は住友コレクションの保管、展示、研究をしている機関で
京都にあるのが本館、
六本木にあるのは分館。

散逸したり戦争で焼けてしまったりはありましたが
400年もの間に集められたコレクションの一部を管理しています。

京都繊維大学の設立に対しても住友春翠さんがずいぶんと尽力されたとのことで
ここでの展示となっているようです。

工芸の旧態然としたスタイルに危機感を覚えた彼らは
この京都工芸繊維大学であたらしい工芸を作るべく
資料となる美術品をたくさん購入しました。

ポスターも折りたたんでもってきたそうです。
家紋のようなもようをあしらっていたり
日本の影響が見られます。


金属のような輝きをたたえるティファニーのガラス工芸品も
研究のため小さいものを何種類も持って帰りました。

これもティファニー。エレガント!

エミール・ミュラー。
当時艶消釉や結晶釉など新技法による特徴的な釉薬で高い評価を受けていたそうです。

にゃー!
猫様です。
ベルリン王立磁器製作所。

お花の意匠が美しい・・・

ジョルナイによる海草モチーフのベース。
この玉虫色の不思議な光を放つエオキシン釉を開発したところで
日本の釉薬研究にも大きな影響を与えた。

・・・とまあ、まだまだ写しきれないほどの
一流の美術工芸品を買い集めてきたわけです。

素晴らしいお金の使い方だと思いませんか?
これが日本の工芸の美意識を上げ
技術を上げ
今も見る人を楽しませてくれる・・・
ほんとうのすごいお金持ちは
志も高いのね。

次のセクションでは浅井忠はじめとする
ゆかりの画家たちの作品が展示されています。

浅井のグレー村の水彩スケッチなど。

有名どころのこちらを写真に撮ったので
アップしておきますね。

写真は特別な許可を得て撮ってます。

廊下に出ると内国勧業博覧会の作品がさらっと並んでいます。
そこを通り過ぎて
次のセクションではその京都高等工芸学校で実際に使われた資料と
浅井忠の図案による作品、図案集

住友家の欧州陶器

教材として購入した近代陶器

・・・とならんであります。

フランスからもってきた
アールヌーボーの図案集

こちらが浅井忠の図案集から「瓜」

浅井と工芸家のコラボでできた美しい蒔絵の箱。
これ、すっごく綺麗です・・・
池田秋悦

載せきれないですが、素敵なものたくさんでした。

陶磁器はわたし、あまり詳しくないので
ろくに写真もとらなかったのですが
そんな私でも
これでお茶を出されたらびびるなぁ、というような
凝ったデザインのティーセットがならび
その先に近代の作品がありました。


谷波山

上品で柔らかな美しさ。
彫刻科出身だというこの彫りの繊細さ。
磁器のことは何もわからないけれど
見入ってしまいます。



これも波山。

れも。

日本美術協会展で金碑第一席を受賞した作品だそうです。

学校の資料や研究のため随分とお金をかけたのが伺えます。

なかなか見られないお宝、お時間ありましたらぜひ。

特別展 「浅井忠の京都遺産―京都工芸繊維大学 美術工芸コレクション」

開館期間
2017年9月9日(土)―10月13日(金)
午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)

開館期間中の休館日
休館日:月曜(9/18・10/9は開館、9/19(火)・10/10(火)は休館)
入館料
一般 800円(640円) / 学生600円(480円) / 中学生以下無料
20名様以上の団体の方は(  )内の割引料金
港区民(在住・在勤か在学)の方は証明書提示にて無料

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