アントワープへ

モンサンから帰った翌朝、ご近所をスケッチに。
ここは一週間前に赤いきのこを見た場所。


もうきのこはかなり減っていた。
霜も降るようになっていてけっこう寒い。

そしてこちらはこの道沿いに立っているおうち。


ふつうのおうちがかわいらしい。
描きたいと思うようなかわいらしいれんが造りのお家がたくさんあった。
やっぱり時間が足りない。

午後から相方さんがわざわざお休みを取ってくれてアントワープまで連れて行ってくれた。
そう、フランダースの犬のネロが死んだ教会のある街。


これがその、アントワープ・ノートルダム大聖堂。

ルーベンスの絵はやはりすばらしかった!
ルーブルにあるのもよかったけど教会のなかにあるとまたひときわ。
ルーベンスの肌に使われてる赤はほんとうにきれいだとおもう。
構図の巧みさ、躍動感、やっぱりすごい!

モンサンミッシェル

Mちゃんの相方さんがモンサンミッシェルに連れて行ってくれると言う。
やった!!
とっても行きたかった場所!
でも私は知らなかった。
彼らが住む街から6時間以上かかるなんて。
しかも相方さんはそんなに運転は好きではない様子。
しかも風邪気味。
ありがたいやら申し訳ないやら…。

高速をとばしてゆくのだけれど途中の風景がすばらしかった!
広い農場、たくさんの牛や羊、街や集落の真ん中には必ずかわいらしい教会のとがった塔がみえる。
いつか描きにいきたいな。

そしてはるか彼方にこの姿が見えたときは感動!!


Mちゃんのブログに先にかかれてしまったけれどこの絵を描くまえに大変なことになってしまった。

着いたときはちょうど潮がすっかり引いていて干潟を歩いている人もちらほらいるかんじだった。
2人を中にのこして私はそとからモンサンを描こうと歩き出した。
描くのは乾いたところがよいのだけれど、ちょっと別の角度からも見てみたい。
干潟には足跡がのこってたからきっとあるいても大丈夫とおもったのだけど
ずぶずぶともぐりこんでしまった。
子供の頃、北海道の新雪の上にのって膝上までずぶずぶはまって抜けなくなることがよくあった。
長靴を脱いで這って脱出するしかないのだけど、ここで這うのはちょっとやだな。
しかもこの靴は唯一の靴。
雪の中の長靴をとりだすのだって大変だったのに泥はもっと重い。
明日はモンサンの中を登ろうって言ってたのに靴なしじゃなぁ…。
と困ってるうちにどんどんはまってゆく。
そこへ家族連れが通りかかり、お父さんがひっぱりあげてくれた。
ありがとう!!
靴ごとあがろうとがんばったのだけどびくともしなかったので
靴はあきらめてしまった。
ほんとはとりに戻りたかったけど潮が少しずつ満ちてきていて
私のあけた穴にも水が溜まり始めている。
フランスのお土産だと思って新しい靴を買いなさい、とお父さんにも止められた。
長靴をはいたかわいい子供たちがとってきてあげようか?と言ってるよう。(フランス語)
きもちだけで十分です…!ありがとう!

靴は上の絵の右下の水際あたりに埋まってます。


そしてこれは翌朝、相方さんがとってくれたホテルの窓から。
いちばんモンサンに近くて2Fまである立派なお部屋でした~。

スウェットとスリッパでこの日を過ごすことになると覚悟した昨日の出来事だったけど
Mちゃん夫妻が靴を調達してくれ、Mちゃんが予備のジーンズをもってきててそれを貸してくれたので
ふつうの格好で過ごすことができました。
ありがと~!

しかしサイズが同じだったとは。


ほらね、こんなすてきな眺め。
飲みながら描いてたわけではありませんよ~、念のため。


モンサン内部で見たまいまい。
日本のより固そう。
お顔も見てみたかったけれど膜を張ってお休み中でした。

美術学校


Mちゃんは地元の美術学校に通っている。
そこにおじゃまさせていただいた。
いろいろやるそうなのだけど、そのときの課題は陶芸。
もう仕上げにかかっていてみんなスクレーパーで表面を削る作業に入ってる。


大きな鉢のようなものを作っているのだけどなぜかみんな底が小さくて不安定なかんじ。
Mちゃんにどうして?ときいてみた。
始めたときはお椀ぐらいのものを作るのだと思っていたんだって。
それが次週もまだ続き、その次も続き、どんどん大きくなってしまったのだそう。
彼女は自分が言葉がわからなくて勘違いしたのかと思ったみたいだけどみんな同じような様子。

ちなみに左下の手はMちゃんとその作品。


そう、ここではオランダ語で授業が行われている。
私たちには英語で話してくれるけど、みんなオランダ語でおしゃべり。


まあにぎやかなこと!
Mちゃんいわく、ベルギーの人たちはおしゃべり好きなのだそうだ。


外国でしかも言葉の壁も乗り越えてひとりで学校に通い始めた彼女はほんとにすごいとおもう。

その仲だちをしてくれたのが彼女の親友、リヴさん。
リヴさんにはこんなすてきなところに連れて行っていただいた。



2つ星の場所だそうです!

もうすっかり秋も深まって

きのこ鑑賞のあとはMちゃんの案内で彼女の住む街をぐるーり。

ベギン会修道院。
れんが造りの美しい建物は今はギャラリーとしても使われているそう。

十字架のキリスト像の前の門柱のうえにはドクロの彫刻。


窓ガラスがゆがんでいてレトロなかんじ。


ふつうの町並みが美しい。
紅葉も終わりがけ。
大きな黄色い落ち葉が冷たい風に舞い始めてる。


ベルギーへ(きのこの国?)

翌朝タリスでベルギーのブラッセルへ


そう、あの有名な世界三大がっかりのひとつ小便小僧のある街です。


いやいや、私はそんなにがっかりしなかった。
かわいかったです。

そしてMちゃんと街をぶらぶら。
季節柄、きのこのディスプレイが多い。


かわいいなぁ。
友人から頼まれてた日本では手に入りにくいきのこ狩り用のナイフもこの並びの刃物屋さんでみつけました。


翌日はMちゃんの住む街のきのこスポットに案内してもらいました。
その様子はこちらでも見られます。

前日の雨のせいで傷んでしまったきのこもおおかったのだけど、落ち葉をどけるとこんなかわいいのが残ってた!

こんなちびっこちゃんも!
絵本の中に出てくるようなまっ赤なかわいいきのこちゃん。


ルーブルへ!


そしてついにやってきました、ルーブル!


憧れのニケさんにご挨拶して、とりあえずモナリザを観て、それからゆっくりまわろう。
ニケさんのレプリカは受験生のときにデッサンしたのだけど、
石膏デッサンのきらいな私でも、そのあまりの美しさに楽しく描けたものでした。

名画ばかりでめまいがしそう!!
絵もすばらしいのですが天井や壁などの装飾も見逃せませぬ。


アポロンの間にて。


2時くらいまで息もつかないかんじで観まくってたのだけど
さすがに疲れてコーヒータイム。

バルコニーまでこんな!


朝イチから閉館まで観ても絵画しかまわれなかった…。
それでも大満足。
ああ、すばらしかった!
ちょうど夕陽が美しい時刻。
急いでスケッチしたけれどあっというまに陽が暮れてしまった。

描いてたら黒人のお兄さんにどこから来たのかときかれた。
お兄さんは去年日本にお仕事で行ったのだと言う。
そしてまた別れ際は例のちゅっちゅご挨拶。
そしてきめゼリフ「スリニキヲツケテ」
…それだけスリが多いということ?それとも日本人が狙われやすいってこと?


翌日はパリを発ち、ベルギーのMちゃんのところへ!

オルセー、オランジュリーへ


翌朝は時計は相変わらずなかったけど、ちゃんと早起き。
朝7時がまだまっ暗だったのにびっくり。
まだサマータイムだったのでした。
前日起きられなかったのもムリはないなぁ。

お弁当を作っていってきまーす!
近くのスーパーのようなお店で買ったバゲットで作ったのですが、とってもおいしい!
表面はびっくりするくらい固いのに中はやわらかく、香りがとてもよいのです。


憧れのオルセーに到着!

そうそう、この時計が見てみたかった!


オーディオガイドを借りてみたのだけど、借りてよかった。
『小説「聖書」』を読んで聖書のお話を頭に入れようと思っていたのに
1/4ほど読んだところで止まっていたのでまだまだ知識が足りない。
読んだところまでのお話の一場面だとわかるので楽しい。
こんなことならちゃんと全部読んどくんだった!
あとギリシャ神話の知識も必要。
むかーしがんばって読んだけど国によって神様の名前がちがったり、
よその国の神様と同一視したりもしてるので複雑でしかもうろ覚え…。

入ってすぐのなかなかセクシーな彫刻のふとももにセルライトを発見して
なんてリアルなのかしらと思ったら
ガイドによると本物の女性から型取りした作品だという。
当時それで彫刻といえるのかと論争になったそう。
そういうこともガイドがなかったらわからなかった。


なんだか大好きになってしまったかわいいシロクマ君。
ミニチュア版が売っていたのでほしくなってしまった~。

そのあとオランジュリー美術館に行ってモネの睡蓮の部屋でしばしボーゼンとしておりました。
楕円形のお部屋の壁いっぱいにひろがる睡蓮の池。
明け方の水の色、昼間の強い日ざし、夕暮れのきらきらしたひかり、
流れてゆく雲を水鏡がうつし、水辺の草も優しく水面をなでている。
一枚一枚に空気があり光がありほんとにすばらしかった!
ちかくでみると荒いといってもよいようなタッチ。
何を描いているのかよくわからないぐらいなのだけど、離れると睡蓮の葉になり花になり水のきらめきになる。

自然光をとりいれた明るいすてきな美術館は大改装工事がすんだばかりだそう。

見終えてお外に出ると5時近くだというのにきらきらきれいな日ざし。
前日もおもったのだけどパリは朝の光よりも夕方の光のほうがきらきら美しい。
どこか描こうかな、とふらふら歩いていたらどこからきたの?とおじさまに声をかけられた。
Mちゃんから近よってくる人には気をつけるよう警告されていたので警戒気味に対応。
日本からだというと日本人の友達がいる、と言いだして片言の日本語までとびだした。
ますますあやしい~~?
あれがコンコルド広場、あっちにルーブル、オペラ座はあっち、といろいろ説明してくれ、
「マテオ、トモダーチ!スリニキヲツケテ」というとほっぺにちゅっちゅっとする
むこう式のご挨拶をして行ってしまった。
マテオさん、ほんとはいい人だったのかもしれないね。
だけどほっぺにちゅっちゅのご挨拶は苦手。

気を取り直してチュイリー公園の端の方を、ジュ.ド.ポーム側からスケッチ。


そのあとポンピドゥー芸術文化センターに行こうと思っていたのだけど
駅からどっちに歩けばいいのかわからなくなってしまった。
次回は方位磁石と時計を忘れまい!
で、適当に歩いていたらすてきな教会にたどりついた。


サンジェルマン.ワーセロワ教会というらしい。
中に入ってみると日曜だったためかパイプオルガンの演奏が行われており、これからなにかあるようで
人が集まり始めていた。
夕陽をあびて輝くステンドグラス、美しい彫刻や宗教画、ろうそくの光、パイプオルガンの荘厳なひびきとあいまって
信者でもないのに神聖な気分になってしまう。
牧師さんがでてきて人々が賛美歌を歌い始めた。

ブーローニュの森


パリに着いたのは夜7時くらい。
空港の芝生や凱旋門のまわりの緑地にちいさなうさぎがたくさんいたのにびっくり。
描きたかったけれど飛行機やバスで通り過ぎただけだったので写真もとれなかった。

パリは車も人もとっても多い。
わたしがとったホテルはすこし郊外にあったので静かだった。
2時間くらいはぐっすり眠ったのだけど時差ぼけと興奮で眠れない…。
….
ふと目覚めたら10時をまわってた!!
アサイチでルーブル、とおもっていたのに。
北駅に行って4日後のベルギー行きの電車の切符をとったりしてたら午後をだいぶまわってしまった。
初めてのパリなので電車に乗って移動するだけでもとても時間がかかる。
タリスの切符を買うのにもだいぶ並んでしまった。
ほんとに人の多いところ!
都会が苦手なわたしはすっかり疲れてしまったので、ホテルの近くのブーローニュの森に行ってみることにした。


大きくてきれいな森だった。
そしてやはり人は多かった。
土曜だったせいかな?子供連れが多い。

外国だしひとりだし緊張するのだけど筆をもつと自分にかえれるようで落ちつく。
スケッチしてたら上のほうでがさがさ音がする。
体長15cmほどの小鳥が一生懸命なにかをひねるような動きをしてる。
しばらくしてぽとん、と青いりんごが落ちてきた。
それをおいしそうにつついてる。


見たことのない実。


これはたぶんブラックベリー。
まだ赤いのをちょこっとかじってみたらしゃりっとした。
黒くなったらおいしいのかな?
桑の実みたいに?


森が途切れたところに遊園地がある。
子供たちの歓声を聞きながら芝生の上で街角を描いてみる。


実は私は建物を描くのが苦手。
けれどこの旅行中にすこし上達したので、まず初めのから見ていただくことにします~。

ただいま!


行ってきました、パリ&ベルギー2週間の旅!
帰ってきたらおうちのプロバイダが変わっててネットがつながらない状態に…。
いつもは無線LANでつなげてるのですが、いまだうまくつながらず、妹の部屋からケーブルで。
本人はいたって元気でお仕事も水泳もこなしておりました。


日程的にも金銭的にもかなりムリがあった今回の旅。
航空券をとったあとに個展が決まったというのもありまして…。
行く前は個展の疲れでへろへろだったのですが行ってしまうと興奮ですっかり元気に。
ベルギー在住のMちゃんご夫妻にはほんとにお世話になりました。m(_ _)m

格安航空券だったのでもちろん直行便ではございません。
アシアナ航空という韓国の航空会社なので、ソウルのインチョン空港で乗り換え。
待ち時間にちょこっとスケッチ。

おいしい、といううわさの機内食。
コリアンスタイル、というとおいしい韓国料理が出てきます。
毎回コチジャンがチューブに入ってついてくるのがおもしろい。
キムチもおいしい!
でもキムチごはんのごはん対キムチが1対1だったのにはおどろいた。
3対1くらいじゃないと食べられないよ~。


飛行機


アメリカのスケッチもついに最後の1枚となりました。
早朝の飛行機で出発して着くのは翌日の3時頃。
1日損するかんじです。

このちいさな飛行機でシカゴまで飛び、乗り換えをします。
カードが使えなかったこともあり、帰りは$の現金をまったく持っていませんでした。
でもシカゴから10時間以上のフライトで水がないとつらい!
私はいつもお水をたくさん飲むのです。
ダメモトでカードで払えるかきいてみました。
やっぱりノーでした。
しょうがない、とあきらめようとしたら
なんと後ろに並んでいた老婦人が私の水の分まで払ってくれたんです!
びっくりしてお礼を言うと、私も同じように困ったことがあるのよ、とおっしゃいます。
「あなたも他の人が困っていたら同じようにしてあげることで返してくれたらいいの。
 それに、私はカナダ人なんだけど、カナダ人のイメージもよくなるでしょ?」
なんだか泣きそうになりました。



いろいろ大変だったけどよい旅でした。
しっかり働いて、お金をためて、また旅に出たいとおもいました。